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    グローバル理工人育成コース シンポジウム2019:講演レポート2

    グローバル理工人育成コース シンポジウム2019:講演レポート2

    「私の価値観・夢の変化 〜短期留学と国際交流を通して〜」 釜坂 みお(工学部 高分子工学科4年)

    「私の価値観・夢の変化 〜短期留学と国際交流を通して〜」
    釜坂 みお(工学部 高分子工学科4年)

    <グローバル理工人歴>
    ▷学部3年
    2017年3月: TOMODACHI STEM @Rice University 2017に参加
          ライス大学で5週間の研究インターンシップに従事
    2017年5月: Japan Summer Program in Sustainable Development (JSPSD)に参加
          ジョージア工科大学の学生と共に持続可能な開発について議論
    ▷学部4年

    2018年8月:スリランカ超短期海外派遣プログラムに参加


    はじめに
    私は、ボート部のマネージャー、国際交流学生会SAGEというサークルの代表、家庭教師のバイト・・・など、大学生活を通してたくさんのことに挑戦してきました。慌ただしい日々の中でも、機会に恵まれて挑戦した2度の短期留学や国際交流の経験は、私にとても大きな影響を与えてくれました。入学当初は「研究者になることで多くの人の役に立ちたい」と漠然と考えていましたが、今では大学院に進学せず「海外との接点が多い総合商社で技術を社会に応用していく仕事に携わりたい」と張り切っています。
    今回は「私の経歴」に示した①~④の短期留学、国際交流の経験についてご紹介します。 また留学や国際交流に興味を持つきっかけとなった、高校生のときのエピソードについて簡単に記します。

    ミネソタ州の高校での2週間(高校1年生春休み)
    初めての留学経験!
    私は高校生の時から、漠然と「英語を話せるようになりたい」という憧れがありました。英語教育に力を入れている高校だったので、英語が上手な同級生や先生から自然と影響を受けたのだと思います。
    初の留学経験は、現地の高校で2週間授業を受けるというものでした。ほとんどの生徒が自分の興味や学ぶ目的を明確に持っており授業がとても活発でした。それもアメリカ出身の学生だけでなく、留学生も多くみな優秀だったことにも驚きました。一方で、予想以上に自分の英語が通じず落ち込みました。
    この経験を通して、私も育った国や背景に関わらず優秀な人になりたいと思い、「大学でも留学するぞ」と心に決めました。たった2週間でしたが、今でも印象深い経験です。

    ①国際交流学生会SAGEとグローバル理工人育成コースへの所属(学部1年生)
    大学入学時、SAGEの活動目的である「国際交流」という言葉に惹かれ入会しました。日本に居ながら英語力を磨けるのではないかと思ったからです。
    さらに、いつか留学したいとも思っていたので、同時期にグローバル理工人育成コースに所属しました。

    ◆SAGE(セージ)とは?
    主に東工大の学生を対象に、様々な国際交流イベントを企画・運営する公認サークルです。1日完結型の学内留学生との交流プログラムから、海外から学生を招いて開催するプログラムまで企画・運営を行っています。なかでも、10日間の留学プログラム「ASCENT」※はとても刺激的なプログラムでした。詳しくはこちら

    ※ASCENT(アセント)とは?
    アジアの約7か国から理工系学生を日本に招待して、SAGEメンバーをはじめとする東工大生と共に、一つのテーマに沿って知見を深めるプログラムです。研究室や企業見学、テーマに関するディスカッションやプレゼンなどを行いました。実際に見た技術や製品をどうやって社会課題の解決に用いるか、ということを話し合いましたが、その複雑さに頭を悩ませたと同時に面白さを感じました。

    左:タイ・インドネシア・中国・フィリピンの学生とのディスカッション / 右:観光をしたときの一枚


    ②TOMODACHI STEM @Rice University 1か月のアメリカ研究室体験(学部2年の春休み)
    プログラムへの参加動機
    大学入学後しばらくは、専門授業の課題・テストやサークル活動等をこなすことに必死で「留学」というワードは頭から離れていました。しかし、2年生の夏休みにASCENTに参加し来日した留学生と交流したことで、自分自身も海外で学びたいという思いが再び強くなってきました。ただ「ボート部やSAGEの活動を中断したくないから、長期留学は難しいかな」「短期留学でもお金がかかりそう…」など、時間やお金がないことに悩んでいました。
    そんな時、東工大の国際交流メールニュース※で、「TOMODACHI STEM @Rice University」を見つけました。このプログラムでは、約1か月間、アメリカのライス大学(理工系分野に強い名門大学!)にて自分の希望する研究室で研究ができるというものです。しかも、滞在費や渡航費などの費用を主催団体がサポートしてくれるというとても手厚いプログラムでした。
    ※東工大では、留学プログラムや留学用奨学金に関して、学内で募集するものや学外から案内があったものについて、随時メールニュースで配信しています。詳しくはこちら

    参加までのプロセスは?
    応募にあたっては、複数のエッセイや教授からの推薦書による書類選考のあと、2回のスカイプ面接がありました。当時、エッセイも面接も初めてだったので、一人では到底こなせないと悩んでいましたが、長期留学経験のあるSAGEの先輩が、エッセイの添削や面接の練習に付き合ってくださいました。このように、周りに経験者がいたら頼ってみるといいかもしれません。

    このプログラムはグローバル理工人育成コースに関係あるの?
    大学主催のプログラムではないのですが、報告書を提出することで、コース修了要件である「グローバル理工人研修」の単位を付与してもらえました※。コースのプログラムでなくても、自分が参加したいプログラムがあったら、積極的に挑戦してみることをおすすめします。
    ※単位付与についての詳しくはグローバル人材育成推進支援室(ghrd.info@jim.titech.ac.jp)にお問合せください。

    プログラムでの3つの収穫
    1つ目は、英語を勉強するモチベーションが更にあがりました。大学入学後は、英語力の成長を感じることができた一方で、特に専門的な話になると知らない単語も多く、ほとんど理解できないこともありました。日頃からの英語学習が大事だと痛感しました。
    2つ目は、研究とは何か、研究者がどういう職業かについて学びました。ライス大学の博士課程の学生や企業の研究者など、様々な立場の方から「研究とは何か」について話を聞きました。研究の面白さを垣間見た一方、成果が出るまでとても時間がかかることや、成果が出た研究も社会に応用されるまでとても時間や労力がかかることが印象的でした。
    3つ目は、将来自分が本当にしたいことは何かを考えるきっかけになりました。自分は研究がしたいのか、そもそも、自分はどんな分野にわくわくするのか、など真剣に考えるようになりました。

    左:研究室でメンターを務めてくれた博士学生と / 右:最終日のポスター発表

    ③JSPSD Japan Study Program in Sustainable Developmentで“学内留学”(学部3年の第2クォーター)
    どんなプログラム?
    持続的開発目標(SDGs)を強く意識しながら、日本で持続的開発、特に都市やコミュニティーに関わるさまざまな持続性の問題を検討し、学修するサマープログラムです。アメリカのジョージア工科大学(以下GT:Georgia Institute of Technology)と東工大が連携し、東工大を拠点に約10週間にわたり行われました。東工大の学生にとっては、日本にいながらGTの学生と週4回の授業を受けたりグループワークをしたりと、“学内留学”のようなプログラムでした。プログラムの詳細はこちら
    グループワークやフィールドワーク、プレゼンテーションを通して様々な学びを得ましたが、プログラム中に一番印象深かったのは、GT学生との日常会話と専門的な会話の両方に難しさを実感したことです。 日常会話は、話す速さに慣れることや独特のユーモアやジョークを理解することが大変でした。この経験から今も、時間のある時にアメリカの連続ドラマを見るなど楽しみながら慣れることを心がけています。
    授業中のディスカッションでは、GTの学生が一度に多くの情報を早口で話すことに慣れるのが大変でした。ディスカッション・専門的な会話では、事前に知識を蓄えておくことや自らの意見を持つことが大前提であること、そして言語に関わらず論理的に物事を捉え、相手に伝える力がとても大事だと痛感しました。


    左:グループごとのプレゼンテーションの様子 / 右:プログラムの参加者で原爆ドームを訪問


    ④超短期海外派遣プログラムでスリランカへ(学部4年の夏休み)
    前述のASCENTがきっかけで、アジアへの興味が芽生え参加を決意しました。

    プログラム内容は?
    現地の農業や繊維業、紅茶業など、様々な産業現場を見学・体験しました。また、スリランカの名門大学であるペラデニヤ大学で学生と交流したり、授業を受けました。日本とスリランカに関する国際シンポジウムに参加し発表もするなど、貴重な経験も出来ました。 スリランカ超短期海外派遣プログラムの様子はこちら

    超短期派遣プログラムの良いところ
    現地国を訪問する前に事前学習があります。事前学習では、訪問国の産業や歴史、訪問大学について調べ、参加者間で共有しあうことで、予備知識を得た上で現地を訪問できました。プログラム終了後にも報告会などがあり、スリランカについて深く知り理解することが出来ました。 そして先生方の引率があるところも、超短期派遣ならではだと思います。初めての海外でも安心だと思いますし、同行いただいたスリランカ人の先生からは沢山のことを教えていただきました。

    左:シナモン農場でシナモン加工体験 / 右:ペラデニヤ大学の学生との交流


    グローバル理工人育成コースについて
    修了するのは大変?
    国際的な場面で活躍できる力を身につけたいという気持ちがあれば、そんなに大変ではないと思います。特に対象科目の「グローバル理工人入門」や英語の授業は、とても面白く役に立った上に、年に数回開講しているため履修時期を選べるのでお勧めです。留学プログラムの単位をいつとるか(いつ留学に行くのか)は、早めに計画しておくといいと思います。

    留学にどう役に立った?
    英語の授業に加えて、TOEICやTOEFLなどの英語試験を無料で受けられる機会があることは、とても有難かったです。短期の留学でも、応募時に英語力スコアが必要なことは多いので、早めに高いスコアを取得しておくといいと思います。

    これらの短期留学や国際交流を通して
    それぞれの経験を通して、様々な背景をもつ人との出会いがあり、たくさんの新しいことを学びました。 プログラムを通して出会った海外の友人とは、今でも連絡を取ったりお互いの国を案内したりと、交流が続いています。留学の期間が短くても、出会った人々はとても大事な存在になりました。 また、学んだことの中でも特に印象的なのは、ASCENTやJSPSDでのディスカッションで海外の学生と話した「社会課題を解決すること」の面白さと難しさです。国際的な課題を解決して多くの人の役に立ちたいという思いと、もともと技術に関する話が好きな気持ちが重なり、「技術と社会をグローバルに繋げる役割を担いたい」と進路の決定に繋がりました。


    まとめ
    ●留学や国際交流は、どんなに期間が短くても、私に大きな影響を与えてくれました。みなさんも少しでも興味があったら、挑戦してみましょう!
    ●留学や国際交流のチャンスは、意外と至るところにあります。国際交流メールニュースや東工大のウェブサイトを利用して、情報を得ましょう!
    ●グローバル理工人育成コースを通して、世界に関する授業や英語試験サポートなど、色々な機会を活用しましょう!

    次のページへ「スウェーデン“短期留学”と“長期留学”を通して得たもの」 山浦 由也(生命理工学院 生命理工学系 生命理工学コース 修士2年)

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