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    オンリーワン留学のすすめ:海外で都市開発を適切に進めるために必要な知識・感覚・思想を養ってから企業で活躍したい

    オンリーワン留学のすすめ:海外で都市開発を適切に進めるために必要な知識・感覚・思想を養ってから企業で活躍したい

    環境・社会理工学院 土木・環境工学系 都市・環境学コース 修士課程2年 川島 真之介

    目次

    1. 留学のキッカケ①:脳にグロ理菌が寄生してしまう
    2. 留学のキッカケ②:学部卒のはずだったが、気づいたらインドにいた
    3. 留学中の活動:欲張りフルコース4品
    4. インドならではの苦労:泣きっ面の傷口に蜂と塩
    5. インドの余暇:魅力もいっぱい
    6. 留学を希望する後輩へアドバイス

     


    1.留学のキッカケ①:脳にグロ理菌が寄生してしまう

    私は入学前から留学にぼんやり興味があった。 東工大のシステムや制度について調べていると「どうやら東工大では海外留学促進の機運が高まっている」と感じたからだ。 入学後「グローバル理工人育成コース」の存在を知り、ミーハーな私はとりあえずコース所属申請をした…。 そんな、ゆるくゆるく始まった私のグローバル理工人の歩みを紹介する。

     

    学部1年で履修した「グローバル理工人入門」では、日本人学生4人と外国人TAのグループワークをしたのだが、今考えればこれが人生で初めての英語による外国人とのディスカッションだった。 まぁ英語が出てこない出てこない。絶望と恥ずかしさで出席が億劫な時もあった。 留学報告会に参加し、グロ理メールニュースも読みはするが、「意識が高すぎる…、自分なんて…。」と感じていた。しかし実は、その感情は心の85%を占めるものに過ぎなかった。残りの15%は「羨ましい!」という感情で、本当はうずうずしていたのである。

     

    留学と関係するなにかしらの出来事に接するたびに、この15%の「うらやま感情」が脳内でうごめき出す。 頭では「意識高い系(笑)」と遠ざけているはずなのに、寄生した菌のように「うらやま感情」が自分を揺さぶり続け、脳内で肥大化しやがる。 これがグロ理菌である。
    そのせいで私は気付けば具体的な行動を起こしてしまっていた。選択英語の講義を多く取ったり、グロ理の制度を利用してTOEIC/TOEFLを受験したり、更に土木同窓会基金を利用したインド研修、土木講義の一環で参加したアジアブリコン台湾大会、グロ理の超短期海外派遣など、様々な海外プログラムに参加していた。 グロ理菌は脳内を支配していき、知らぬうちに留学に対する心の内訳を変えていったのだ。言うなれば、意識高すぎ:40%、羨ましい:30%、自分も行きたい:30%くらいに侵略されていた。

     

    正直言って、数々の海外研修プログラムは「大学にお金を出してもらいながら海外に行けるぜラッキー」くらいにしか捉えてなかったが、いつの間にか外国人と英語で話す壁を全く感じなくなっていた。 外国人率の多い居酒屋(HUBなど)やクラブ(Contact Tokyoなど)で外国人に絡みに行くことも増えた。特に超短期海外派遣プログラムでは、現地の大学の様子や学生の雰囲気をガッツリ知ることができ、着実に留学気運が醸成されていった。グロ理菌、恐るべしである。

    アジアブリコン(台湾):自分たちの橋梁が荷重に耐えつつ予定たわみに収まった喜びの瞬間

     

     

    2.留学のキッカケ②:学部卒のはずだったが、気づいたらインドにいた

    学部3年から就職について調べるようになり、鉄道を主軸に都市開発を行っている企業に興味を持ち、海外事業も展開している2社を中心に企業訪問を行った。 非常に好意を持って海外事業の説明をしてくれたが、更に深いところまで聞いていくと、「現在行っているプロジェクトには手探りの面も多い」という本音が2社双方から出てきた。

     

    当初、私は学部卒業して早く社会で働きたいと考えていたが、就職活動を通じて、このまま日本で過ごしたままで就職するより、海外で都市開発を適切に進めるために、必要な知識・感覚・思想を養ってから企業で活躍したいと考えるようになった。 単に海外に行ったところで、そのような事業の即戦力になれるわけではないが、今すぐに就職する必要性に疑問が生じ、留学を決意するに至った。

     

    長期留学には沢山の下準備が必要である。しかし私はグロ理に所属していたことで、入学初期から留学の準備なるものを知らないうちに積み重ねていたようだ。 留学に寛容な研究室を選択できるための一定の学力も身についていた。海外や英語に対する抵抗感もなかった。TOEFLのスコアも取得できていた。留学に関する相談ができるコミュニティーもすぐに見つかり、「トビタテ!留学JAPAN」奨学金についても、開催してくれた対策会のおかげで獲得することもできた。
    ということでグロ理菌には大変感謝している。

     

    留学先は、①今後都市開発が活発化する可能性の高いエリア、②ハイレベルで東工大と交換留学を行っている大学が存在する国、③日本人の留学先として独特な文化が存在する地域、という条件で絞り、最終的にはインドに留学することを決意した。 社会人一年目になっているはずの年齢で、気づけばインドでカレーを食っていた。まさか自分が8か月もインド留学に行くとは思わなかったし、親に連絡した時は心臓発作で倒れる寸前だと言われた。

     


    インドの電気街:低品質な充電器を高値で売りつけようとしていた商人との渋々ショット

     

     

    3.留学中の活動:欲張りフルコース4品

    私は修士1年の期間を利用して8か月インドへ留学した。
    ①チェンナイにあるインド工科大学マドラス校(IITM)での講義履修、②南インド宗教都市の視察、③インド最大の建設会社L&T社でのインターン、④日本コンサルタンツJIC / 国際協力機構JICAでのインターンの4つのコンテンツによる欲張りフルコースだ。 留学当初は、「8か月全体をIITMで過ごし授業履修と研究行う」という至ってスタンダードな留学計画だったのだが、紆余曲折あって跡形もないほど留学計画の変更を行ったのである。

     

    私は交通分野を専攻しているが、都市開発ノウハウの輸出を担う人材は、文化、慣習、宗教のような部分もおろそかにはできないと考えている。 IITMの講義を通して、交通に関しては一定の成果は得られそうだったが、工学で語れる領域を超越している部分に関してはただ講義を座って受けているだけでは不十分だと悟るようになった。加えて、インド人の時間を守る気がない、予定を簡単に忘れる、直前にならないと行動しないなどの特性が、例えば大学行事の準備やコンベンションホールの設営といった公の事業でさえ垣間見られたこともあって、より実社会でのビジネス視点に立つ必要性を感じた。
    このような背景と、トビタテの事前研修で出会った人々の自由奔放な留学計画も思い出され、欲張りフルコースに方向転換して行ったのである。 なお、今回の留学で研究活動はしていない。この点はかなり特殊かもしれない。

     

    この転換によって、途上国での都市開発について、より俯瞰的な目線で知見を養うことができた。IITMではインド流のミクロ交通流理論を学びつつ、チェンナイで問題視されている幹線道路の改善計画を提案し、IITMの教授に直談判して南インドの宗教都市を視察するオリジナルのプロジェクトを立ち上げ、ヒンドゥー教寺院の周囲に形成される都市構造を学ぶことができた。

     

    その後、純インド企業L&T社のインターンとして、インドの交通を鑑みた駅周辺改良計画の提案をすることにより、インドが考える都市開発の方向性を学んだ。日本では当たり前の物にインドの人々が驚き食いつくこともあり(二段式自転車ラック等)、日本の都市開発技術を再評価できた。 L&T社はインド最大の建設会社で、建築物のみならず、鉄道や発電など都市インフラから通信、そして軍事・航空まで、様々なフィールドで活躍する大企業。最近では世界最大の立像「統一の像」(高さ182m)を手掛けたことでも有名である。

     

    最後には北部グルガオンに移り、インド新幹線プロジェクトを行うJIC/JICAにてインターンとなり、日本企業とインド企業の関わりについて見聞を広めることができた。それぞれで非常に貴重な体験をし、そこで得た経験を次の活動に有機的につなげることができた。 グルガオンはインドらしくないクリーンなハイテク都市で、日系企業も多く進出しており、CoCo壱番屋が出店したニュースをご覧になった方も多いのではないだろうか。

     

    <留学目的と留学中の活動の関係性の図>

     


    L&T社でインターン:自分以外100%インド人の中で普通に勤務する日々

     

    4.インドならではの苦労:泣きっ面の傷口に蜂と塩

    渡航前ですら、すでに沢山苦労があった。東工大からIITMに交換留学で渡航する第一号だったたため、手続きは留学生交流課の方とともに全て手探りで行った。
    インドは強烈なコネ社会であり、東工大の指導教員にからIITMの教授にメールを送ってもらうが、待てど暮らせど返信が来ない。講義のシラバスも時間割も東工大OCWのように公開されていない。あまりに何も決まらないうちに渡航時期が来てしまったため、最終的には「まあいいや、着いてから考えよう」と割り切るしかなかった。 これは正解だった。細部まで決めてもまたひっくり返されるのがインドだとわかったから…。

     

    予防接種は非常に大事で、私は発症したら死ぬ感染症と、日々危機にさらされる感染症に絞って接種した。費用が10万円以上かかったため、トビタテ奨学金支給のタイムギャップで破産しかけたし、毎週両腕に平均4本の筋肉注射を受ける地味に痛い薬漬け生活もまた異様であった。

     

    インドについてからのハプニングは全て挙げていたらキリがない。毎日ハプニングに曝され、ハプニングをハプニングと思わなくなってしまった。
    40℃を超える室内にもかかわらず、網戸はなく到着早々デング熱にかかる。学生証発行にはインドの電話番号が必要だが、インドのSim取得には学生証が必要と言われる。身体を洗い終わりシャワーを使おうとしたタイミングで断水!友人にバケツリレーを頼む。Diwaliという爆竹&花火祭りで打ち上げ花火に直撃される。大気汚染でコンタクトを1日に3セット消費するなどなど…。いやいや、まだまだ序の口である。あと50個は簡単に挙げられる。 ちなみに一番焦ったのは、チェンナイ駅周辺で調査中にカメラが武器だと間違えられ警察に拘留される、翌日アンケート調査中に再び拘留されるという、どこかにぶち込まれる系である。苦労もフルコースであった。

     

    私はどちらかというとタフな人間だと思っていたが、今回の留学でそのタフさはケタ違いに膨張したと思う。どんな困難があろうとも腐らずに目標を達成することに従事できた点と、傷ひとつなく無事に帰国できた点は、自分でも大きく評価している。

    シャワー中の断水被害者友の会 & デング熱の腕 & 1日付けたコンタクト &

    QRコード看板でアンケート調査をしていて駅事務所に拘留される5分前

     

     

    5.インドの余暇:魅力がいっぱい

    ここまで読んできた皆さんの心境は、「うわ絶対インドは行きたくない」であろう(一部マニアがすでに興味をそそられているのも知っている…)。それはまだ早い。 ハプニングも魅力に感じてしまう魔法もあるし、ハプニングを凌駕する魅力もたくさんある。

     

    IITMは大学全体が自然公園であり、東工大の7倍の敷地に無数の犬・猫・サル・鹿が生息している。見た目は完全に森の中、講義から自分の部屋に戻ると子猫が部屋の前で待っていて可愛すぎる。 全寮制という非日常体験で、講義終わりにバレーボールやクリケットを楽しんだり、夜中までグループワークのディスカッションをしたり、学内のカフェで語り合ったりもできる。ヨガの講義やインドカレー教室なども充実しており、学内だけでも沢山の娯楽がある。

     

    更に私の場合は、週末はほとんど学外に出て、近隣の都市や無名の観光地、そして安価でおいしい料理を巡った。 チェンナイは海に面しており、イルカと一緒にサーフィンができるビーチは最強。海鮮料理、特にカニ/ロブスター丸ごと一匹カレーや、地魚刺身丼は気絶するほどうまい。予防接種の代金で一時破産寸前まで行った身だが、インドに入国してしまえば形勢逆転、富豪と化す。生活や講義で大変なことは、これらの富豪的娯楽が打ち消してくれた。

     

    とはいっても、100円出せば死ぬほど満腹になる小汚い店や、上裸のインド人とたわむれる方が、私には性に合っているようだ。理由は非常にフレンドリーな南インドの人々の魅力にある。 ご飯を食べている時も旅の途中でも必ず話しかけられ、まず一人にはなれない。 祭りやボリウッドダンス対決によくわからないまま巻き込まれることはよくある。 南インドではほとんどの人が英語を喋ることができ、かなり田舎に行っても若者やリクシャー運転手は英語で意思疎通できる点も大きい。

     

    チェンナイはインドで4番目に大きい先進国的都市で、意外かもしれないがショッピングモールや各国料理店は大変充実している。 日本が恋しくなったり体調を崩したりしたときは、そういう場所にエスケープすればよい。 同時にいい塩梅に途上国らしさもあり、街を歩けばほとんどの女性がサリーやクルタを着ているし、沢山の寺院や祭りなど伝統的なインドの文化も残している。英語も基本的に通じるし、人々のフレンドリーさのおかげですぐに仲間ができる。 少しはインドの魅力が伝わっただろうか….

    自然 & 動物 & 人人人人人 & カレーカレーカレーカレーカレーカレーカレー

     

    6.留学を希望する後輩へアドバイス

    「留学で沢山のことを学べる」ということは決して間違いではない。
    しかし、留学のディスアドバンテージもある。 私のように在学期間を延ばすことなく長期間留学した場合はなおさらであるが、例えば留学に行っている間の日本の講義は受けることができないし、人生を決める要素として非常に大切な日本でのインターンシップを経験できる期間もかなり狭まる。
    そんなデメリットがある中でも、自分が留学をするのはなぜか?必要なのはなぜか?を自分の中でじっくり考えて、それをどんな環境に置かれていたとしても見失わず、継続して行動する「タフさ」が必要であると思う。

     

    世間は留学を美化しすぎである。現在信じられないほど留学が流行っている。しかし企業や大学は「結局留学で何を学んだの?」と、帰国後の浮かれた気持ちに冷水を浴びせてくる。世間の言うほど、留学したこと自体では評価されないのだ。私はB3でもM1でも就職活動をしたが、その傾向は強まっていると感じている。

     

    だからこそ、自分らしい留学とは何か考え、じっくり計画を立てて、「これを学ぶまでオレは、私は日本には帰れない!」くらいのタフさを持って留学してほしいし、そんなオンリーワンの留学が達成できれば、この上ない充実感と経験を得ることができ、誇りを持って今後の人生を歩んでいけると思う。

     

    留学をしたいと「漠然」と考えている後輩が今この文章を読んでいるとするならば、このアドバイスで留学へのモチベーションを下げてしまっているかもしれない。 違う。 その漠然とした気持ちを引き起こした勘は間違いなく正しいものだ。私の人生において「新しい世界へと足を踏み入れた時、案外新しい世界を知るというよりも、もともと居た世界を知る要素の方が大きい」という経験が数多くある。 誰しもこの経験はあるのではないか。 「こんな狭い国にとどまらずに海外に出たい!=留学したい!」という勘は、そういう意味でこれまでの経験に基づいた自然な発想だ。
    幸運にも東工大は留学生も多く、留学をサポートするプログラムも手厚い。 留学をすでに決意している人はもちろん、留学をしたいと漠然と考えている人もその勘を大切にして、内なるグロ理菌の声に耳を傾け、恵まれた環境を生かしながら自分らしい留学をしてほしいと思う。

    最後に、留学に少しでも興味を持ったらFLAPの公式サイトを見てほしい!留学の敷居を低くすることを目的としている東工大の学生団体で、私も理念に強く共感し、先日メンバーとなりました!私と同じように皆さんが心の底に持っている「留学したい!」という思いが花開くと思います!みなさんと直接お話しできることを楽しみにしています!!

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      物質理工学院材料系材料コース 修士課程2年 中畑育歩