学生の活躍
世界中で活躍する所属生・修了生の声留学が遠いものだと感じているあなたに、私の思っていることを伝えたい
物質理工学院材料系材料コース 修士課程2年 中畑育歩
※私についての詳しい話は、昨年度に登壇させていただいたグローバル理工人育成コースシンポジウムのレポートを見て欲しい。
※何か聞きたいことがあれば気軽に私まで(FLAPの公式ホームページ)連絡して欲しい 。
グローバル理工人育成コース所属
大学入学初期から留学についての興味があった。詳しくいうと、高校時代の海外語学研修で行ったカナダのホテルの一室で、私は将来留学すると決意した。それほどまでにカナダで目の当たりにした光景は魅力的で刺激的だった。
留学についての興味があった私は、その勢いのままグローバル理工人育成コースに所属し、グローバル理工人入門なる授業を履修した。海外出身のTA(teaching assistant、以下TA)さんが各グループにつき、TAさんの出身国の問題を調べ、解決策を模索するという内容だった。正直、当時は特に面白いとも役に立っているとも感じずに、ただただ授業に出席していた。
1年次の後期には、入学当初から感じていた周りの頭の良さに対して、自分の圧倒的な劣等感がピークに達すとともに、サークル活動にのめり込んだことから、学校にほとんど行かなくなってしまった。それでもなんとか二年次に復活し、自分を奮い立たせるかのように、専門科目だけではなくグローバル理工人育成コース修了に必要な単位も履修するようになった。
フィリピン超短期派遣
そうして日々を過ごし2年次の春になった時に、「留学経験」以外のグローバル理工人育成コース修了要件を満たすほどの単位を取得していた。サークルが3年次から今までよりも忙しくなることから、2年次の春に超短期派遣プログラムを利用しコースを修了することにした。修士課程のどこかのタイミングにて、欧米のどこかで長期留学をしたいと考えていたため、欧米以外の行ったことのない国を選び、7人の東工大生と国際開発工学科の教授とともにフィリピンに行った。
フィリピンでの10日間はカナダの時とは全く違った意味で、新鮮であり、強烈に刺激的だった。首都マニラでは、行き場もなく道で一日を過ごす貧しい子供達の傍らを、高層ビルで働く豊かなビジネスマンが通る。マニラを離れ少し郊外に行くと、無表情に気怠そうに客を待つ店が並ぶ光景もある一方で、しっかりとした研究所が構えられている光景もある。この10日間は、いかに自分が恵まれた環境、恵まれた国に生まれたかを再確認させてくれた。
東工大チームとご飯を恵んでくれた現地のお母さんたちと子供たち
マサチューセッツ工科大学(MIT)長期研究留学
3年生の秋に研究室に早期所属したと同時に、留学の種類、タイミング、留学先、プログラム、奨学金の申請先を一週間以内に決めた。将来を研究方向にするか迷っていたことから、自分の研究分野のトップレベルを見ようと思い世界トップのMITに一年間行くことを決めた。当時は東工大とMITの繋がりがなかったことから(現在は、工系3学院 MIT – 東工大・原子力系学生交換プログラムがある)、自らMITの教授に直接メールにて連絡を取り、Skype面接を経て留学が決定した。そのためプログラムではなく私費留学という形での留学となった。しかし、「私費」という名前のように留学費用を全学自己負担したのではなく、「トビタテ!留学JAPAN 日本代表プログラム」という奨学金を獲得した。この奨学金は長期留学する上で十分な経済的なサポートをしてくれるだけではなく、留学前後に研修という形で自分の留学の意味づけを明確にしたり、より大きなものにすることを手助けしてくれる。もちろんグループワークなので、同じ意思を持つ留学仲間を作ることもできる。
MITのあるボストンでは、ここでは語りきれないほどのたくさんの刺激的なことや新鮮なことがあった。留学の意味でよく語られる「語学力の向上」や「外を見ることの重要性」というものは実は長期留学のメインではない。人によって、種類によって留学の意味は変わってくるのだが、私の場合は「外に行って初めて内、すなわち自分を知ることができる」というのが留学の大きな意味であった。これは言葉だけでは到底伝わるものではなく、実際に行った人にしかわからないし、感じられないのである。
研究室のメンバーとのちょいガッチリした写真
グローバル理工人育成コースを経て
グローバル理工人育成コースを経て、私は広く深い人脈を獲得することができた。私は長期留学の最後に欧米を周る旅をした。サンフランシスコを訪ねた際に現地で案内をしてくれた友人は、実は「グローバル理工人入門」の授業のグループが一緒であった。ミュンヘンを訪ねた際に一緒に時を過ごした友人は、フィリピンに一緒に行った仲間であった。これら全てはグローバル理工人育成コースに所属したからこそであると思っている。
しかし、これはあくまで結果論である。人脈を手に入れるためにグローバル理工人育成コースに所属するのは本質ではない。あくまで自分が「グローバル理工人」としての素質を獲得したいから所属するのである。大学は授業を取って勉学に励めばそれで良いというものではないと私は思う。本コースも同様である。ただ修了のために授業を取っただけで、「グローバル理工人」になれるのではない。本コースを経て自分の中で「グローバル理工人」の意味を消化し、自らに足りないものを獲得しようと主体的に動くことで初めてコースの本当の意味が出てくると私は思う。
グロ理の授業で知り合ったUC Berkeleyに留学中の友達二人と私の変顔
FLAPについて
留学は「意識が高い」と思われがちである。また、留学に行くには「語学力」「経済力」が必要だと考えられることも多い。これを読んでいるそこのあなたも、これらの理由から「私には遠い話だ」と思っているかもしれない。しかし、実情はどれも異なっている。「意識の高さ」などとはかけ離れた話であり、「語学力」はなくたって人間同士のコミュニケーションで致命的に困ることもないし、「経済力」は奨学金が全て解決してくれる。
FLAPとは、このような皆の勘違いや偏見を正し、東工大内での「留学の敷居を低くする」ことを目的とし、2019年12月に3人の友人とともに立ち上げた団体である。「留学」を自分に落とし込めていないそこのあなた。私たちのウェブサイトにて赤裸々な体験談でも読んでみてはどうだろうか。
我々は、決して全員に留学に行けとは言わない。強くおすすめはするが、自分の研究分野では日本が一番良い環境などの理由で、人によって留学の向き不向きというものがあることは否めないからだ。
しかし、全員に留学を自分に落とし込めと言いたい。留学は誰でもできる。そうあなたもできる。自分でも留学ができることを実感し、自分が自分の好きな国に留学に行っている姿を妄想して欲しい。留学に行くか行かないかを決めるのはそこからだ。英語ができないからって、経済力がないからって、留学が自分には遠いものだと決めつけるのは大いに時期尚早である。
ここまで読んだあなたは既に留学に惹かれているのであろう。一度私たちと直接話(FLAPの公式ホームページ)をしてみないか。いつでも待っている。