留学レポート

世界で学ぶ東工大生

フランス超短期海外派遣プログラム(2019夏)ショートレポート

2019年10月31日

  • ヨーロッパ
  • フランス
  • 3カ月未満
  • グローバル理工人育成コース 超短期海外派遣プログラム
  • アールゼメティエ
  • ソルボンヌ大学

2019年の夏休みに実施したフランス超短期海外派遣プログラムの参加者によるレポートです。
(報告者:学物質理工学院 材料系 学部4年生 )

9月8日から9月19日の日程で実施されたフランス超短期派遣プログラムには、13人の学生が参加し、学部1年生から修士2年生まで幅広い年代、異なる専門を持った東工大生が参加しました。


大学機関

アール・ゼ・メティエ

アール・ゼ・メティエは科学技術を専門とする国立の教育機関です。中でもこのアールゼメティエはグランゼコールと呼ばれるフランス独自の高等教育機関の一つです。日本でエリート養成というと教養教育のイメージが強いですが、グランゼコールは特に職業教育に力を入れています。
ボルドー校は航空宇宙、環境、材料の三つの分野を取り扱っているキャンパスであり、50haと広大な敷地を有します。その校舎は非常に現代的で、伝統的なボルドーの町並みとは対照的です。まず、日本との共同研究、アール・ゼ・メティエがフランスやEUの工業に果たすことのできる役割についてお聞かせいただきました。また研究室見学では微量分析の装置などさまざまな装置や、研究発表ポスターの説明を受けました。
パリ校は1912年に設立した同大学内最大のキャンパスです。PIMM(機械及び材料のプロセスとエンジニアリング)、IBHGC(ジョージズ・チャルパック人間生体力学研究室)、LCPI(製品構想とイノベーション研究室)とDYNFLUID(流体力学研究室)などの4研究室が所属しています。この4研究室をそれぞれ見学させていただき、非常に詳しく研究内容を説明していただきました。また、研究室訪問の後にはペタンクというフランスの伝統的な球技を教えていただき、現地の職員の方とともに遊ぶことができました。

アール・ゼ・メティエ ボルドー校

左)アール・ゼ・メティエ パリ校 / 右)ペタンクの様子

 

ソルボンヌ大学

ソルボンヌ大学は2018年にパリ第6大学とパリ第4大学が合併してできた大学で、工学・理学・医学を主とする教育・研究機関です。キャンパス内には多くの学生を見ることができ、実に多様な人種の若者が在籍していることを感じました。講義では、Design of Experimentの概念や表面処理および材料加工におけるプラズマプロセスについて深く学びました。また研究室見学の後の、学生交流の場では、ソルボンヌ大生は日本に興味がある方ばかりで非常に話が弾んだとともに、各々英語でコミュニケーションをとることの難しさを痛感しました。日本のお菓子などプレゼントしたりして、国際交流を深めたり、連絡先を交換し休日に一緒にエッフェル塔に上るなど、それぞれ非常に仲良くなることができました。

ソルボンヌ大学での学生交流

 

企業

ルノー社テクノセンター

ルノー社のデザイン・設計・研究・実証実験を一手に担う施設であるルノーテクノセンターは1998年、パリ市内外に分散していたルノー車の開発の拠点を一つに複合するために建設されました。これにより一台の自動車の立案から製造までに必要な期間を65ヶ月から25ヶ月に短縮させ、グローバル競争への布石となったとされています。
今回私たちはタイヤのウィールの設計部門に伺い、ウィールの設計から発注、量産までのプロセスを説明いただきました。ひとえに一部品の開発といってもデザイン・乗り心地・ハンドリング性・コスト・静音性・省エネなど、求められる要素が数多くあり、これをバランスよく満たす設計が必要となります。そして約90日の設計、45日の実証実験、125日の量産化のプロセスを踏み、やっと自動車への搭載に至ります。この中で何度も適応と修正を繰り返し、アップデートをしていくということを学びました。

テクノセンター内で

 

HORIBA Europe Research Center

世界有数の分析・計測機器総合メーカーである堀場製作所のフランスの研究拠点に訪問しました。この施設は2012年にジョバンイボン社の技術を引き継ぐ形で設立され、多くの技術者・研究者の方々が1つのチームとなり日々新商品の開発に尽力されている様子が印象的でした。
訪問の中では、堀場製作所の誕生と歴史を講義形式でご紹介いただき、その後は東工大生から自身の研究内容の紹介を行いました。発表者の中には、同社の計測器を研究において使用している者もおり、私たちの研究と密接に関連している企業であることを実感しました。その後、施設内の研究所の見学し、フランスにおける日本企業の活躍を実感しました。

 

所感

今回のフランス超短期派遣留学を通して多くのことを経験し、学ぶことができました。
大学の特別講義では実験統計・プラズマに関する講義を行っていただき、短い時間ではありましたが、実験に行き詰まっていた私に一つのアイデアを示していただいたとともに、プラズマに関する広い知見をいただきました。一方、研究室見学では、使用している機材やソフトウェア・ハードウェアが現在私の使っているものと非常に似ていることに気づき、場所が変わっても研究方法は非常に近いと思いました。また多国籍の研究員が在籍しており、日本よりもグローバル化が進んでいることを感じました。
また企業訪問では、グローバル企業の規模感や、フランスの人々の働き方を肌で感じ、海外で働くことを視野に入れようと思いました。
さらにプログラムでの訪問先以外にも、ワイナリーやエッフェル塔など様々な場所で観光をしました。滞在中に多くフランス人の方々と関わる中で、そのフレンドリーさと親日文化を感じました。
これらの経験を通して、長期留学へのモチベーションが上がり、それだけでも非常に実り有るものになったと思います。来年の9月から、またフランスに長期留学することを考えるに至りました。そして、今回の短期派遣の中で、語学面・学術面においての課題も多く見つかったため、来年の留学に向けて着実に準備していこうと思っています。

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