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    考えているだけでは人に伝わらない (その2)

    考えているだけでは人に伝わらない (その2)

    生命理工学部3年 幸寺健悟

    生命理工学部生命工学科3年の幸寺健悟さんに、「グローバル理工人育成コース」全般についてインタビューしました。(前半はこちら


    Q:今までコースに所属して、一番印象に残っていることは何ですか?(続き)

    A:もう一つ印象に残っていることとすれば、「グローバル理工人概論」などのグループワークや海外研修では結局のところ、議論して終わってしまうところがあるということです。グループワークや研修で得られるものは確かにありますが、それをどのように次につなげ、座学を実践に移していくかというところはあまり議論されません。このキャンパスでは“きっかけ”はたくさんあると思います。ただ、その先に、考えたことをどのようにして実現できるかというところまで推し進めていくと、そこから先の支援はなかなかなく、ノウハウも自分で身につけていくしかない。自分で踏ん張っていろいろやってみるしかない。そうすると実際に何か事を起こすことの難しさや楽しさを見出せると思うのですが、だいたいの人がそこまで行かずに留まって満足して終わるっていうのが少し残念です。東工大生が持つべき素質というのはきっと答えのないところに進んでいき、価値を創造することだと考えています。なので、留まって満足している状況は少し疑問を感じます。自分の場合は、“きっかけ”ばかり与えられるだけではなく何か物足りなく、どこかで何かを興したいと思っていたので、今は「途上国の貧困」と「トイレ」をテーマに屎尿のコンポスト化(コンポストプロジェクトと呼んでいます)をやってみようと思い、実際に活動しています。2014年9月には2週間ほどのフィールドワークと現地での人脈づくりを行ってきました。

    Q:フィリピンに4か月間滞在してコンポストプロジェクトに従事する予定ですが、元からフィリピンに行こうというのは決めていましたか?

    A:たまたまです。所属している国際開発サークル(IDAcademy)の活動で何かしようと思っていました。やっぱりゼロから始めていくには長くその場所に滞在していろいろ知らないとわからないことが多いと思ったので、交換留学という機会を使って、アジアのどこかで長い間滞在しようと思っていました。たまたま思い立って覚悟決めて出願できたところが、フィリピンのデラサール大学でした。別にその大学に絶対に行きたいという訳でもなくて、アジアのどこかで長い間滞在したいというのが目的でした。一応大学の授業を受けることになっていますが、主な目的はコンポストプロジェクトです。滞在しながら、まずはフィリピンでのコンポストプロジェクトが必要なのかを考えていきたいと思っています。

    Q:コンポストプロジェクトについて教えてください。

    A:生ごみ等の有機性廃棄物を微生物に発酵させて堆肥を作るプロジェクトです。最終的にはトイレを用いて人の屎尿を液肥や堆肥などに変換し利用することによって、貧困問題と衛生環境問題を両方改善できる仕組みづくりを目指しています。し尿から堆肥、液肥を作ることも技術的には可能ですが文化的な背景から使いたくない人もいるので、そのあたりの社会的受容度がどの程度あるのかを明らかにしたいということと、し尿を原料にメタンガスを出し利用する技術もあるので、現地ではそのような技術に対してどういう反応があるのかを明らかにしていきながら、トイレの需要と堆肥や液肥の需要がある場所があればやっていきたいなと思っています。

    Q:コンポストは在学中の目的ですか?それとも将来的な目的ですか?

    A:どちらかと言えば在学中の目的になります。ですが、今後将来的な目的にもなるかもしれません。コンポストプロジェクトを将来そのままずっとやり続けることは多分ないと思います。やり続けられるような環境を整えながらそれを残して継続していけたらいいと思いますが、いまのところなんとも言えません。まずはやってみてというところです。しかし、その中のプロセスは将来的なところにも通じると考えています。結局、きっかけを与えられてその後自分で何かするときに、そこで必要になることというのは、実際に自分で始めてみないとわからないことがほとんどだと思います。それを学ぶ環境として、僕はIDAcademyの場を利用し、メンバーと一緒に、何が必要かをどんどん考えながら実際に動いていくということをやっています。そういう経験や、その中で得ていくものは、多分この先自分が就職してどこかに行ったとしても、その後起業するにしても、絶対に必要になって来るものだと思います。最近では新規事業を立ち上げる際にニーズをどのように掴むのかを大学を通じて得られる機会が少しずつ増えていますが、やはりそうした教えてもらう“きっかけ”だけではなくて、そのきっかけから離れて何か自ら動き出さないとわからない部分が多すぎると思っています。そしてなにより、その動き出す「何か」とは今の自分が一番力を注げるものであることが重要だと思っています。僕にとってそれはコンポストプロジェクトでした。今後、コンポストプロジェクト、あるいは他のことで実際に起業するかどうかはわからないですが、いまはコンポストプロジェクトを通じて実際に動きながら何かを形にする感覚や経験を養っているところです。

    Q:将来的にはどこで働きたいとか、何をしたいとか、具体的にありますか?

    A:就職はわからないですが、実現したいことはあります。僕はもともと環境問題に関心があって、特にその中でもエネルギー分野に興味があります。これからのエネルギー供給を核燃料からクリーンエネルギーに変えていくかどうかというところにずっと興味があります。それで今の活動も、コンポストプロジェクトと言いつつ、屎尿からバイオガスを出すことも実際に実験してどのぐらい出るかとかやっています。ちょっとばかげていますが僕の実現したいことを簡単に言うと、食料もエネルギーも自分たちで作りながら、環境教育と自然の中の遊びを提供できるコミュニティーを作ることが僕の夢です。今後の研究生活では、微生物で作るエネルギーや木を高温で燃やして生成したガスを利用するようなバイオマスエネルギーについて研究したいと思っています。低炭素社会・循環型社会の実現に向けて、自分はその中でエネルギーになる部門で研究をするのか、そういう事業をしているところに就職をするのか、まだわからないですが、最終的にはそのあたりで活躍したいと思っています。

    Q:幸寺さんにとって「グローバル理工人」とは何ですか?

    A:それは明確です。どこの国であっても英語は共通の言語になってくるので、英語は必ず話せるツールであること。それに、自分の強みである理工系の専門領域を究めていること。最後に、自身の経験を通じて、他の宗教や文化の理解ができている、「日本人」とは別の「国際人」の感覚を養えていること。この3つの素養を持っている人がグローバル理工人だと思います。僕はまだ専門性の強い学生でもなんでもないですし、研究もまだしていませんが、学部の間で様々な研修に参加して、自身での活動や一人旅も通じてですが、自分はこういうところを強みにしなきゃいけないというのが分かって来ました。英語は必須であるということは痛感しましたし、自分の専門分野がどういうところで貢献できるのかと考えたりする機会もたくさんありました。また、違う国でのそれぞれの習慣や歴史、宗教について深く理解する必要も必ず出てきました。しかし同時に、日本についてもよく知っておく必要があったなあという場面もよく出てきました。自分はその度に「日本人とは何か」をひたすら考えて本を漁っていましたが、3つ目の「国際人」の感覚を養うというのは、同時に自分の「日本人」としてのアイデンティティを高めることなのかもしれません。こうした「グローバル理工人」になるのに必要な3つのことに早めに気づけたことによって、学部時代の過ごし方がものすごく変わったと思います。なので、研究等でまだ忙しくならない学部のうちにたくさんの刺激と気づきを得られる「グローバル理工人育成コース」はいいと思います。

    Q:これからコースに入る人などへのメッセージを。

    A:「とりあえずやってみよう」。だまされたと思ってとりあえずやってみて。迷っているなら来てください。ただ、このコースだけに満足せずに、日本を積極的に飛び出て、いろんな人とつながってみてください。そうすれば見えてくる世界、知らなかった世界が広がっていくと思います。


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