留学レポート

世界で学ぶ東工大生

ベトナム超短期海外派遣プログラム(2024年春)ショートレポート

2024年4月16日

  • アジア
  • ベトナム
  • 3カ月未満
  • グローバル理工人育成コース 超短期海外派遣プログラム
  • ベトナム国家大学ホーチミン市校工科大
  • カントー大学

2024年の春休みに実施したベトナム超短期海外派遣プログラムの参加者によるレポートです。

(報告者:修士課程2年/ 理学院化学系


プログラム概要

本プログラムは東京工業大学のグローバル理工人育成コースが実施する実践型海外派遣プログラムの一つで、計8名の学生が2024229日から310日までベトナムに滞在しました。本プログラムは以下の2点を目的としたプログラムです。一点目は廃棄物問題やベトナムの現地の農業について詳細に学修し社会課題を解決するための知識や知見を育むことです。二点目は植民地支配や幾度もの戦争を経験したベトナムの文化・歴史を学び、幅広い知見を得ることです。これら2つの目的を達成することで、グローバルな社会課題を解決できる人材となることを目的としています。

 

施設訪問

ベトナム滞在中、現地のコンサルティング会社、日本企業が関わる廃棄物焼却発電プラントなどを訪問し、ベトナムの廃棄物問題についてレクチャーを受けました。プラスチックリサイクル村への訪問では世界各地から集まってくるプラスチックごみの加工の様子を視察し、グローバルなごみ問題とベトナムのローカルな問題が接続されていることを学びました。

また、JICAオフィスやヤンマー研究所や現地の農村等の訪問を通し、ベトナムの気候変動問題に対する日本の協力と、ベトナムの主産業である農業の現状について学びました。ドイモイ政策以降、ベトナムの農業技術の発展は著しく、農機具のアップグレードやドローンの導入などを通してスマート化・効率化が進んでいることを学びました。

(左)プラスチック村に積まれたPETの山
(右)農村で使用されているドローン

 

さらに、現地のお寺や教会、博物館に訪問し、ベトナムの宗教や文化、歴史について深い学びを得ました。また、市場のフィールド調査やバイク調査によってベトナムのマス層の現状について理解しました。カントーのLung Ngoc Hoang自然保護区では、カントー大学のカン先生のレクチャーを受けながらベトナムの豊かな自然を楽しく体験することができました。

 

ベトナムでの生活

ベトナムの気候は、北部のハノイと南部のカントー及びホーチミンで全く異なる様相を示していました。3月のハノイはやや寒くダウンを羽織る必要がありましたが、南部地域では連日最高気温30 ℃を超える熱帯らしい気候でした。植生や食も南北で大きく異なり、北部では薄味のフォーなどを、南部では南国らしいココナッツやマンゴーなどのトロピカルフルーツを堪能することができました。一方、地方の現地住民向けの市場は未発達であり、観光客向けの市場や都市部の小売店と比べ衛生管理が不十分であるという印象を受けました。

また、ベトナムでは主にバイクが足となっているようで、通勤・帰宅ラッシュの時間帯には街をバイクが埋め尽くすほどの勢いでした。ホーチミン市でのバイク調査では、ホンダやヤマハのバイクが非常に人気であり、メーカーの販売台数通り、日本のバイクは現地の人に支持されていることが窺えました。

ベトナム国家大学ホーチミン市校工科大学(ホーチミン工科大学)の学生とのツーリングは風を感じることができた反面、街で交通事故の危険を感じる場面にも遭遇するなど、都市化・過密化が喫緊の問題であることを実感しました。また、都市部の空気は汚いと感じることも多く、道路ではマスクの着用が不可欠だと感じました。現地のバイク運転手も皆マスクをして運転していました。ベトナム当局は電動バイクの導入を推奨しているようですが、バイク調査では、電動バイクに有利な都市部であっても数台しか見つけることができませんでした。これらの交通負荷軽減の取り組みとして、ホーチミン市中心部ではメトロが開通するようです。ハノイでは中心部と郊外を結ぶ路線が主であり、都市内は依然混雑していましたが、ホーチミンでは中心部に路線が開通するため、交通負荷の緩和に期待がかかります。

ホーチミン市の交通負荷

 

学生との学生との交流

本プログラムではカントー大学、ホーチミン工科大学の2つの大学の学生と交流する機会がありました。

まずカントー大学で英語科の学生と交流を行いました。カントー大学を紹介してもらうなど、英語で楽しく交流を行うことができました。カントー大学の学生は日本に強く関心をもっており、日本とベトナムのサブカルチャーについて話が弾みました。

次に、オンライン事前学習で既に交流を行っていたホーチミン工科大学の学生と、対面で交流を行いました。まずホーチミン工科大学と東京工業大学の両大学の先生によるベトナム・日本の廃棄物についての情報提供を受講した後、積極的な討論を行いました。その後ホーチミン工科大学の学生から研究室の紹介を受けました。ホーチミン工科大学の学生との交流を行った後、両大学の学生が集まってレクリエーションを行いました。レクリエーションでは、ベトナムの大学生の意外な一面を見ることができました。特に現地学生の日本への関心の深さに良い意味で衝撃を受けました。帰り際には、東工大生とホーチミン工科大学の学生とで自国のお菓子を交換し談笑する様子が伺えました。一部の学生とは、解散後も交流を深め、遊園地やツーリング、家への訪問等を楽しみ現地の学生と仲を深めることができました。一部の学生は今も両大学の学生と連絡を取り合うなど、国や言語の壁を超えて良好な関係を築くことができました。

集合写真;ホーチミン工科大学にて

 

まとめ

ベトナムの地は気候人情ともに温かく、多くの人が異邦人に対しても親切に接してくれました。学生も非常に陽気であり、オンライン事前学習の段階で既に打ち解けることができました。我々東工大生もベトナムの文化・歴史を勉強し、相互理解を深めることができました。また、プラスチックリサイクル村への訪問を始めとする廃棄物問題の実態に触れることで、グローバルな問題とローカルな問題が接続されていることを実感しました。さらにベトナムでの農業について対面で見聞きすることで、自然科学や技術的な知見がベトナム経済の成長に大きく寄与していると実感しました。日本の企業・団体が既にベトナムで事業や支援活動を展開しているため、後続の団体の参入障壁は比較的下がっており、ベトナムでの事業活動のチャンスは我々の想像以上に広がっていると感じました。

本プログラムを通じて、日越の相互理解や現地の大学と東工大との友好関係の構築に資することができたと思います。本渡航経験と東工大で得た知見を組み合わせ、グローバルな社会課題を解決するための基礎を固めることができました。

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