留学レポート
世界で学ぶ東工大生シンガポール・マレーシア超短期海外派遣プログラム(2024春)ショートレポート
2024年5月7日
- アジア
- シンガポール
- マレーシア
- 3カ月未満
- グローバル理工人育成コース 超短期海外派遣プログラム
- シンガポール工科デザイン大学
- マラヤ大学
- 南洋理工大学
2024年の春休みに実施したシンガポール・マレーシア超短期海外派遣プログラムの参加者によるレポートです。
報告者:学士課程2年/生命理工学院 生命理工学系
1. プログラムの概要
本プログラムは、グローバル理工人育成コース「実践型海外派遣プログラム」の対象科目の一つとして実施されました。私たちは2023年3月10日から21日にかけてシンガポールとマレーシアを訪れ、大学での学生交流や研究室訪問、企業訪問などを行いました。
2. 大学訪問
シンガポールでは南洋理工大学(NTU)、シンガポールデザイン工科大学(SUTD)、SIM global education、の3大学を、マレーシアではマラヤ大学、イスラム国際大学(IIUM)の2大学を訪問し、キャンパスツアーや学生交流を行いました。また、それぞれの大学で東工大と日本に関するプレゼンテーションを行いました。
NTUとSIMでは日本語を学ぶ学生さんと、東工大の学生は英語、現地の学生は日本語という形でお互いに自己紹介をし、お菓子やドリンクを囲みながら交流をしました。NTUでは学生さんから「私と外国語学習」というテーマのプレゼンテーションがあり、自分の今まで、そしてこれからの外国語学習について見つめ直すことができました。NTUとSIMの学生さんたちとはプログラムが終わった夜の自由時間も一緒にご飯を食べたり、ナイトサファリに行ったりと、親しい関係になることができました。
(左) 図1 NTUでのプレゼンテーションの様子 (右)図2 SIMでの学生交流の様子
SUTDでは日本語クラブの学生さんが用意してくださったビンゴゲームで交流を行いました。シンガポールに関するクイズに正解していきビンゴを作るというもので、景品も用意して下さりとても充実した時間になりました。マラヤ大学、IIUMでは現地のフルーツを振る舞っていただいたり、伝統的な遊びを体験させていただいたりしました。
3. 研究室訪問
シンガポールではNTUで合計4つの研究室を訪問しました。まず、東工大OBの方の研究室を訪問しました。東工大在学時のお話やそこからの海外での博士課程など、貴重なお話を伺うことができました。別の日には、理学分野の3つの研究室を訪問しました。専門的な内容で難しく感じましたが、積極的に質問をすることで理解することができたように思います。どの研究室も、見たことがない最先端の機械や研究設備が整っており、圧倒されました。
マレーシアではマラヤ大学とIIUMでそれぞれ3つの研究室を見学しました。ドリアンの皮を材料に配合した3Dプリンティングの研究室など、東工大にはないような独自の研究室を見学することができました。
図3 Durian fiber 3D printing and composite lab見学の様子
4. 企業訪問
シンガポールではJFEエンジニアリング株式会社、マレーシアではShimadzu Manufacturing Asiaの合計2つの日系企業を訪問しました。JFEエンジニアリングでは、南洋理工大学から受注し、共同研究をすすめているガス化溶融炉を実際に見学し、最先端のゴミ処理技術を目で見て体感できました。Shimazuではクロマトグラフを製造する工場を見学しました。どんな質問にも優しく答えてくださり、一つの製品が精密に作られる様子がわかりました。
図4 JFEエンジニアリング訪問の様子
5. その他
シンガポールではSwee Linさんのガイドのもと、2日に渡ってHistorical town walk tourを行いました。カンポングラム地区やベイエリアを歩いて回り、様々な文化が融合したシンガポールの街並みや歴史を知ることができました。また、学生交流を行ったSIMの学生さんのうち2人のお宅にお邪魔し、ホームビジットを行いました。みんなでローカルフルーツを食べたり、ギターで日本の曲を弾き語りしたりと、楽しい時間を過ごしました。
(左)図5 Historical tourの様子 (右)図6 ホームビジットの様子
6.所感
印象に残ったのは、シンガポール・マレーシアの人々は互いに文化を尊重しあっているということです。シンガポールは中華系、マレー系、インド系と多くの民族が暮らしており、様々な文化が入り交じっていますが、それぞれの文化はひとつに融合したり対立したりしているのではなく、独立しつつも共存していました。同じ民族の人々はそれぞれ自分の母語を用いて話していた一方で、異なる民族同士でも英語を用いて楽しく会話をしていたのが印象的で、異文化を尊重するというのが染みついているのだと感じました。さらに、マレーシアでは多くのイスラム教徒がラマダン(断食)を行っていたにも関わらず、私たちにその文化を強制するのではないばかりか食事やお菓子でもてなしてくれました。そんな、文化を尊重し合う優しさや親切心を渡航中何度も肌で感じることができました。
私は長期留学に興味があったため、はじめのステップとして今回のプログラムに参加しました。初めての海外であったこともあり出発前はとても不安でしたが、実際に渡航してみて非常に充実した楽しい11日間を過ごすことができました。今まで漠然としかなかった将来の海外でのキャリアについてより具体的に考え始められるようになり、勇気を出して行ってよかったと心から感じています。しばらくは日本で語学力や専門性を磨いていこうと思っていますが、いつかまた海外に渡って学べるチャンスがあれば積極的に挑戦していきたいです。