留学レポート
世界で学ぶ東京科学大生タイ アントレプレナーシップ・グローバル海外研修(2026春)ショートレポート
2026年4月21日
- アジア
- タイ
- 3カ月未満
- アントレプレナーシップ・グローバル海外研修
- チュラロンコン大学
2026年の春休みに実施したアントレプレナーシップ・グローバル海外研修(タイ)の参加者によるレポートです。
報告者①:学士課程3年/生命理工学院 生命理工学系
1. プログラム概要
「GATI10 (Global Awareness and Technology Implementation 10)」と呼ばれる本プログラムは、タイへの留学(3/5-3/21)に加えて、事前学習と本学協定校であるチュラーロンコーン大学(以下、チュラ―大)の学生の訪問受け入れ(1/5-1/9)で構成され、チュラ―大生と課題解決に向けた合同グループワークを行いました。今年のテーマは「災害と社会福祉」であり、災害時に役立つ製品のプロトタイプを作製しました。空き時間では観光を通じてチュラ―大生と親交を深めることが出来ました。
2. 講義・施設訪問
タイ訪問2日目から本格的に活動が始まりました。最初の3日間は東京科学大学(以下、科学大)の学生のみで、アユタヤの防災・建築事業を手掛ける企業や歴史的建造物、博物館・美術館を訪問しました。
個人的に印象に残っているのは、シリラート医学博物館でした。当館では遺体や患部の模型など、日本では非難されてしまうほど過激なものが展示されていました。タイと日本における倫理観の違いを感じる場面が多かったのですが、見たくない現実から目をそらすことなく向き合おうとする姿勢は日本には見られない特徴であり、実際に災害が起こった時に役に立つと感じました。
シリラート医学博物館 寺院へのゴンドラ アユタヤで
4日目からはチュラ―大での講義やグループワークが始まり、チュラ―大生とも関わるようになりました。科学大での講義と比べると、学生が能動的に参加しなければいけない場面が多く、ついていくのに必死でした。しかし、自発的に考える機会が多かったためやりがいを感じました。休み時間にチュラ―大生と一緒に昼食を食べたことも楽しい思い出となりました。3/12にはタイ語の講義があり、自分の名前をタイ文字で書くことに挑戦しました。隣に座っていたチュラ―大生が丁寧に教えてくれたおかげで、何とか書くことが出来ました。
3/13-3/15は、一部のチュラ―大生と共にバンコクから約200 km離れたホアヒンを訪れました。ここでもDisaster Prevention and Mitigation CenterやPhetkasem Foundationを訪問し、タイにおける防災について学びました。日本と異なる点もありましたが、チュラ―大生が個別に解説してくれたこともあり、よく理解することが出来ました。空き時間ではチュラ―大生と共にビーチやナイトマーケットを楽しむことが出来、親睦を深めることが出来ました。
Disaster Prevention and Mitigation Center Phetkasem Foundationで救助体験
ホアヒンのビーチ
3/16にバンコクから戻ってきてからも、チュラ―大生と一緒に様々な場所を訪問しました。3/17の午前中にはNational Assembly of Thailand(タイの国民議会)を訪れ、実際の会議の様子を見学しました。その際の私達の様子がタイのニュース番組で紹介されたと知ったときは驚きました。他にも、施設内の様々な場所を見学することが出来、大変有意義な時間を過ごすことが出来ました。
3. グループワーク
訪問前の事前学習に引き続き、訪問中も「災害と福祉」をテーマにしたグループワークを複数回行いました。対面でのグループワークはZoom上よりも円滑にコミュニケーションが取れると感じました。ただ、私たちのグループワークは事前学習の段階からうまく連携が取れておらず、チュラ―大生だけで話が進むことがあり、苦しい思いをすることが多々ありました。しかし、最終的には自分の役割を見つけ、最終プレゼンテーションを無事に終わらせることが出来ました。振り返ってみると、反省点も多かったのですが、もっと自己を主張できるようになろうという目標を明確化することが出来たため、非常に良い経験だったと感じています。
グループワークの様子
4. タイでの生活
空き時間にはタイを満喫する時間がありました。観光やショッピングを楽しんだり、ワット・アルンで伝統的な衣装を着てみたりなど、心躍る体験をたくさんすることが出来ました。中でも、映画館で英語・タイ語字幕で英語を見たことは、タイでしかできない素敵な体験だったと思っています。また、チュラ―大生と飲食店で食事をしながらおしゃべりしたことも大切な思い出です。生まれ育った国や話す言語は異なっていても友情を築くことが出来るということは素晴らしいことだと思いました。

ワットアルンにて、伝統衣装着用
チュラ―大生との食事 チュラー大の学食
5. 総括
今回のタイ訪問では、文化や価値観の異なる人々に出会い、視野が広がるというよりも価値観が覆されるような経験をすることが出来ました。私はもともと控えめな性格で、自分を表現することが苦手だったのですが、チュラ―大生をはじめとするタイの人々や科学大のメンバーと触れ合うことで、もっと堂々としていても良いのだと思うことが出来ました。この経験は今後の人生のよりどころなってくれるであろうと思っています。このプログラムで出会うことが出来たすべての人々に感謝しています。
報告者②:工学院 経営工学系 学士課程2年
「支援」から「パートナー」へ:酷暑のタイで触れた躍動するアジアの今
はじめに
3月の酷暑期、私はタイ派遣プログラムに参加し、バンコクおよびアユタヤを訪れました。出発前、私はタイに対して「日本がサポートする側の国」という漠然としたイメージを抱いていました。しかし、16日間にわたるサイトビジットやチュラーロンコン大学の学生との交流を通じて、その先入観は良い意味で大きく裏切られることとなりました。本レポートでは、現地で得た気づきと、そこから得た自身の展望について報告します。
図1:チュラーロンコン大学生とのグループワークの様子
タイの学生たちとの交流:圧倒的な熱量と行動力
タイの東大ともいわれるチュラーロンコン大学での交流は、本プログラムの中で最も衝撃的な体験でした。彼らの多くは専門書を英語で読みこなし、議論においても物怖じせず、流暢な英語で自身の意見を論理的に展開していました。 特に印象的だったのは、彼らの「まず動いてから、走りながら修正していく」という凄まじい行動力です。日本でのグループワークでは、入念に計画を立ててから実行に移すことが多いですが、彼らは大まかな方向性が決まると、驚くべきスピードで作業を形にしていきます。プレゼンテーションの準備においても、既存の枠にとらわれない柔軟で大胆な発想を次々と提案され、自身の思考の硬さを痛感しました。彼らはもはや「支援対象」ではなく、共に未来を創る「対等なパートナー」であり、日本が学ぶべき要素を数多く持っていることを肌で感じました。
サイトビジット:アユタヤのレジリエンスと経営の現地化
アユタヤでは、2011年の大洪水を乗り越えた日系企業の強靭なレジリエンス(復旧力)を学びました。カナデビア(旧日立造船)による水門建設などのインフラ整備は、単なるビジネスを超え、東日本大震災への「恩返し」という精神的な絆に基づいた協力関係であることを知り、深く感動しました。 また、大林組などの現場を巡る中で見えてきたのは、日本人が技術を教える段階を過ぎ、現地スタッフが主体となってビジネスを動かす「経営の現地化」の加速です。現地のスピード感にワクワクしながら取り組む日本人駐在員の方々の姿は非常に眩しく、一方で、その勢いに追いつけない日本本社の慎重すぎる姿勢というリアルな課題も浮き彫りになりました。
図2:アユタヤの巨大な水門を視察する学生の様子 図3:王宮(グランドパレス)の荘厳な建築
文化と芸術:タイの適応力と内なる情熱
王宮(グランドパレス)やバンコク現代美術館(MOCA)では、タイの多層的な文化に触れました。王宮に見られるタイ式と西洋式の様式が見事に融合した建築は、自国のアイデンティティを守りつつ、外来文化をしなやかに取り入れてきたタイの外交の歴史を象徴しています。 また、MOCAで鑑賞した巨匠タワン・ダチャニー氏の白黒の絵画群は、仏教的な題材を扱いながらも、爆発的な生命力と人間の「情熱」を表現しており、極彩色溢れるタイの日常とは異なる「静かなる安息と内省」の時間を与えてくれました。
図4:MOCAでのタワン・ダチャニー氏の作品
おわりに:将来に向けて
今回のプログラムを通じて、私の将来の展望は明確になりました。私は将来、日本からの指示を現場に伝えるだけの「連絡係」ではなく、現地の熱気の中でワクワクしながら、自分の責任で物事を決めていける人になりたいと強く願うようになりました。 アユタヤの水系に感じた自然への畏怖、そしてチュラーロンコン大学の友人たちの熱量を忘れず、異なる文化やスピード感の中に勇気を持って飛び込み、新しい価値を創造できる人間を目指します。この16日間で得た驚きと感動を糧に、変化し続けるアジア、そして世界を舞台に挑戦し続けていきたいと考えています。
















